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小児の腎機能評価

腎機能の成熟

腎機能は糸球体濾過量(GFR,しきゅうたいろかりょう)という指標で表されます。GFRはいわゆる腎機能を意味し、尿毒素(尿から排泄される体の老廃物で、排泄されないと毒素として体に外をおよぼします)を捨てる能力を示します。新生児期のGFRは成人の1/5程度ではじまり、2歳前に成人とほぼ同等となります。そのため、血清クレアチニン(筋肉で産生され腎臓で排泄される尿毒素)の基準値は生後数か月まで減少しますが、その後は筋肉量の成長とともに増加に転じます。

小児の血清クレアチニン基準値

血清クレアチニン値(SCr)は、腎機能に反比例し、筋肉量に比例します。小児のSCr基準値の生理的な推移は、出生直後は母親と同値ですが、数日後には本人の値である0.4mg/dl程度になります。その後は腎機能の発達とともに1歳台0.2mg/dl強、身長の伸びに合わせて4歳0.3mg/dl、10歳0.4mg/dlとなります。その後は思春期の急激な筋肉量の増加に合わせて急上昇し、成人するころには男性0.8mg/dl、女性0.6mg/dl程度になります(表1:ここをクリック)

小児の血清シスタチンC基準値

小児の血清シスタチンC(cysC:血清蛋白質の1つで全身の細胞で産生される尿毒素です)の基準値の生理的な推移は、腎機能の発達とともに変化します。新生児期や乳児期早期は1.5mg/L程度から始まり、腎機能の発達とともに生後3カ月1.1mg/L程度、1歳で0.9mg/L程度、2歳ではほぼ成人同様の0.8mg/L程度となります。その後は思春期後半に0.7mg/L程度に下がります。cysC値は腎機能が悪化すると上昇スピードが鈍くなり、SCrと異なり腎機能と反比例しません(表2:ここをクリック)

小児のeGFR(推算GFR、イー ジー エフ アール)

これまでに小児のGFRを推算するためのいくつかの式が作られましたが、日本人小児のものはありませんでした。eGFRを%表示で表すと、
eGFR (%) =(SCr基準値/患者のSCr値)×100
となるので,上記の年齢当たりまたは身長当たりの基準値を使えば、eGFR (%)(腎機能が平均の何パーセントかを示す値です)は推算できます。
また、2歳以上11歳以下の小児のeGFR(ml/min/1.73m2)は、
eGFR (ml/min/1.73m2) =0.35×身長(cm)/患者のSCr値
で表されます。
乳幼児を除く2歳から18歳の全年齢について男女別のSCr値を使用したものや、全年齢小児のcysC値を使用したものは現在作成中です。

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