包茎
疾患の概念どのような疾患?
包茎とは陰茎先端(いんけいせんたん)の亀頭部(きとうぶ)が包皮(ほうひ)で被われて亀頭が露出していない状態をいいます。包皮は外板(がいばん)と呼ばれる外から見える皮膚の部分と、内側に折り返している内板(ないばん)と呼ばれる部分からなります。乳幼児期は内板と亀頭はくっついていて皮膚がはっておらず、折り返しの部分(包皮口、ほうひこう)が生理的に狭くなっています。
疾患の成因どうして起こるの?
生まれたばかりの男の子は全くむけない状態が正常で、いつむけるようになるかは子供によって様々です。
4-5歳になると亀頭が見えるまでむけることも多いですが、最終的にはほとんどの男性では陰茎が成人のサイズになった段階で包皮と亀頭の癒着(ゆちゃく)が解除されて包皮をむいて亀頭を露出できるようになります。
日本人の陰茎形態の変化についての調査結果では、亀頭がほぼ露出する割合は6ヶ月未満では5%未満ですが、3-4歳では約半数にちかづき、11-15歳で7割を超えます。
診断・検査どのように発見されるの?
大部分の小児の包茎は正常な発達過程ですが、平均よりもむけにくい場合に受診される男児は多いです。
それ以外の症状としては、包皮が赤く腫れる「亀頭包皮炎 きとうほうひえん」、尿がスムースにでず包皮がふくらむ「バルーニング」があります。また、包皮をむいた後にもどらなくなることを「かんとん包茎」といいますが、これは至急に受診が必要です。特別な検査はありませんが、「埋没陰茎 まいぼついんけい」といわれる特殊なタイプのものは区別する必要があります。
治療どうやって治すの?
包茎の手術は環状切除(かんじょうせつじょ)といって余った内板をリング状に切除して残った皮膚を縫い合わせます。ユダヤ人やイスラム教徒には幼児期に包茎を手術する習慣がありますが、日本人を含む他の民族には元々その習慣はなく、文化的、歴史的背景に大きく影響されています。たとえば、包茎手術を受けている成人男性はイギリスで6%に対しアメリカでは75%です。また、ほとんどのアジア諸国では20%以下ですが、韓国は80%以上です(2007年のWHO)。日本人の文化的背景では小児期の包茎手術の治療基準は医学的なものだけです。元にもどせないかんとん包茎、包皮が硬くなり成長してもむけない場合がこれにあたります。
バルーニングは手術またはステロイド軟膏治療のいずれかを選択可能です。
また成人後の真性包茎(しんせいほうけい)は日本でも文化的な理由で手術が行われます。亀頭包皮炎は陰茎の発達過程である2-5歳ころに発生しますが、必ずしも包茎の治療が必要な理由にはなりません。
尿路感染症(にょうろかんせんしょう)のお子様に対する包茎手術は米国ではすすめられていますが、日本では以上のような背景より議論の分かれるところです。埋没陰茎は通常の環状切除をしてはならず、小児泌尿器科専門医に相談していただくことが望ましい疾患です。