尿道下裂・陰茎弯曲
疾患の概念どのような疾患?
尿は膀胱(ぼうこう)から尿道を通って出てきます。尿道が陰茎(いんけい)の先端(亀頭 きとう)まで形成されずに、陰茎の腹側(本人から見ると陰茎の裏側)におしっこの出る口(外尿道口 がいにょうどうこう)がある状態を尿道下裂といいます。子供では亀頭は皮膚(包皮 ほうひ)でおおわれていることがほとんどですが、典型的な尿道下裂では、包皮が陰茎の背側(本人から見ると陰茎の表側)にフード状にかたよっていて、亀頭が見えています。また陰茎が下向きに曲がる傾向があります(図1:ここをクリック)。陰茎弯曲では、外尿道口の位置は亀頭に存在しますが、陰茎が下向きに曲がっている状態です(図2:ここをクリック)。尿道の形成が不完全な場合や、陰茎の周りの皮膚の付着異常をともなう場合などがあります。
疾患の成因どうして起こるの?
原因は明らかではありません。尿道下裂は正常出生体重児と比較し、低出生体重児に多いことが分かっています。また、性分化疾患にともなう場合があります。
疾患の症状どのような症状があるの?
おしっこを出しにくいなどの自覚症状はありませんが、おしっこを立ってすることが困難な場合があります。また、陰茎の曲がりが強い場合は、将来の性交に支障をきたす可能性があります。
診断・検査どのように発見されるの?
外尿道口の位置や陰茎の屈曲を確認することにより診断します。停留精巣(ていりゅうせいそう)などをともなうことがありますので、精巣の位置などをチェックします。また、画像検査や内視鏡検査などを行う場合があります。
治療どうやって治すの?
飲み薬で治すことはできません。治療する場合は全身麻酔下の手術を行います。尿道下裂では新たに尿道を作る手術を行います。作った尿道の途中から尿が漏れる(尿道皮膚ろう)、尿道が狭くなり、おしっこが出にくくなる(尿道狭さく)などの合併症があります。陰茎弯曲では、弯曲の成因を確かめ、それに対する手術を行います。
見通し長期的な見通し(予後)
尿道下裂の手術で作成した尿道は陰茎とともに成長します。精巣(睾丸)の機能に問題がなく、性交に支障がなければ、子供を得ることは可能です。手術後は、排尿などに問題がないか、経過を見るのが一般的です。