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日本小児泌尿器科学会事務局

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【尿管瘤とは】
 尿管の下端が瘤状に膨らんだ状態で、尿の通過障害のため水腎水尿管となります。しばしば膀胱尿管逆流(VUR)を伴います。尿路感染の頻度が高く、乳児では重症尿路感染も少なくありません。尿管瘤が尿道に落ちこんで排尿困難になったり、女児では膀胱頚部の発育が悪く難治性尿失禁になったりすることもあります。完全重複腎盂尿管の上腎所属尿管瘤は圧倒的に女児・異所性尿管瘤が多く、多くは手術が必要です。単一尿管の尿管瘤は男児・膀胱内のものが多く、小さな尿管瘤は小児期には無症状のことが多いですが、将尿管瘤内に結石を生じるリスクをもちます。尿管瘤下端が膀胱内にとどまるものを膀胱内尿管瘤、尿管瘤下端が膀胱頚部を越えて尿道へ伸びるものを異所性尿管瘤といいます。

【異所性尿管(尿管異所開口)とは】
 尿管が本来の膀胱内ではなく、膀胱頚部や膀胱外に開口するものをいいます。男児より女児に6倍多く、尿路感染や、女児では持続性尿失禁で発見されます。欧米では80%以上が完全重複腎盂尿管に合併しますが、日本では単一尿管の異所性尿管も少なくありません。尿管口が膀胱頚部〜会陰までの尿路に開口するものは、本来の尿管口の位置に近いほど所属腎機能が良好に保たれます。性路に開口するものは、男児では精嚢・精管、女児では膣・ガートナー腺などに開口し、所属腎機能はほとんどありません。

【診断・検査】
 女児では尿道口から尿管瘤が脱出することがあります。また女児の異所性尿管では下腹部を圧迫すると外陰部の開口部や膣から尿流出を認めることがあります。
 超音波検査では、尿管瘤・異所性尿管のいずれも多くの症例で水腎水尿管を認めます。膀胱内に風船状の瘤を認めれば尿管瘤と診断できます(図1:ここをクリック)。
 排尿時膀胱尿道造影では、尿管瘤は造影当初に陰影欠損として認められます(図1:ここをクリック)。女児膣開口尿管では、膣造影で約80%に膣からの逆流を認めます(図2:ここをクリック)。核医学のDMSA検査は所属腎機能の評価に必要です。MRIを用いたMRウログラフィーや造影CTは必須ではありませんが、尿路全体像がよくわかります。膀胱鏡は、尿管瘤や異所性尿管の開口を直接みることができますが、全身麻酔を必要とするので手術直前に行うのが一般的です。

【治療】
 治療の目的は、尿路感染を減らし、今後の腎機能低下を予防することです。異所性尿管に起因する持続性尿失禁は手術により消失します。小さな膀胱内尿管瘤や所属腎機能がなく尿路拡張が消失した症例は、経過観察することができます。
 尿管瘤では内視鏡を利用して尿管瘤に孔をあけて尿管瘤を虚脱させる方法が簡単で負担が少なく、重症尿路感染や尿管瘤脱出の際の緊急処置としても有効です。ただし異所性尿管瘤では手術後切開創からの尿の逆流を50-100%に認めます。
 腎での手術は、所属腎と尿管の一部を摘出して下部拡張尿管や尿管瘤を虚脱させる方法です。重複腎盂尿管では上腎の尿管を下腎の腎盂に吻合したり、膀胱側方で上腎の尿管を下腎の尿管に吻合したりする方法で機能のある所属腎を残すこともできます。
 膀胱での手術はVURなど他の理由で膀胱手術が必要な症例に選択され、尿管瘤は切除または開窓し、高度拡張尿管は形成して、逆流しないように尿管を膀胱に植えかえます。
 所属腎と所属尿管(あるいは尿管瘤)をすべて摘出する方法は、従来負担が大きな手術でしたが、腹腔鏡下手術により比較的容易に行えるようになりました。

【外来経過観察上のポイント】
 尿路感染の頻度は高く、手術まで、あるいは排尿が確立するまで予防投薬が勧められます。

 

 
 
 
 

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