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小児泌尿器の外傷

外傷を受ける場所の概要

泌尿器の領域には、主に尿を作り体外に排出させる仕組みをつかさどる部分と男児の生殖に関する部分が含まれます。これらは、腎臓 尿管 膀胱 尿道 陰茎 精巣(図1:ここをクリック)です。大きく2つのタイプに分けることができます。一つは管状の構造を持ったもの(尿管 膀胱 尿道)であり、他の一つは中身の詰まったもの(腎臓 陰茎 精巣)です。管状のもの(これを管腔臓器 かんくうぞうきと呼びます)の内容物は腎臓で作られたばかりの尿であり、体内にあるため無菌です。中身の詰まったもの(これを実質臓器 じっしつぞうきと呼びます)は、腎臓 陰茎 精巣です。腎臓には心臓から拍出される血液の約25%と非常に多くの血液が流れています。

受傷の原因や症状など

外傷の原因は、転倒・転落、交通事故などです。管腔臓器の障害に比べ実質臓器(腎臓)では大量出血により生命の危険にさらされることがあります。小児では、陰茎や精巣への外傷はあまり多くないので、ここでは実質臓器の損傷は腎臓についてだけ説明します。
小児は成人に比べて筋肉や脂肪組織の発達が乏しいので、外傷を受けるとかんたんにその力が体内の組織(ここでは腎臓)に伝わります。腎臓の表面は薄くて丈夫な膜(これを腎被膜 じんひまくと呼びます)で覆われています。
しかし、腎臓の組織自体はもろいので、外力による障害を受けると、構造がこわれて出血します。
この出血が尿に混ざると血尿となります。腎被膜が破れなければ、出血は次第におさまってくるので、数日~1週間前後を安静にしていれば自然に治っていきます。しかし、腎被膜が破れると出血は止まりにくくなり、大量出血により出血死することもあります(腎被膜の破れは、受傷後すぐに生じることもありますが数時間以上経過してから破れることもあるので、受傷後数時間以上元気だからといって安心はできません)。血尿や側腹部痛があれば、超音波検査やレントゲン検査を受けることをお勧めします。腎臓につながっている腎動脈や腎静脈の障害(断裂)は短時間で大量の出血を起こすので、非常に危険な状態です。

腎外傷の治療など

腎臓の外傷の治療は安静が一番です。出血がひどい場合には、レントゲンを用いながら腎臓の出血部位の血管に血管を詰まらせるもの(塞栓物質 そくせんぶっしつ)を注入したり、緊急手術で腎臓を摘出したりします(図2:ここをクリック)。管腔臓器の障害では、管構造が破れて尿が体内に漏れることが主症状になります。大量出血につながることはほとんどありませんが、体内への尿の漏れにより強い疼痛や二次的な感染症をおこします。ごく軽傷であれば安静でも治りますが、多くの場合は手術による障害部位の閉鎖・修復が必要になります。

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