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夜尿症

疾患の概念どのような疾患?

5歳を過ぎても週に2-3回以上の頻度で、少なくとも3ヶ月以上連続して夜間睡眠中の尿失禁(おもらし)を認めるものを夜尿症と言います。夜尿症のお子さんが医療機関を受診するのは、ほとんどが小学校入学後ですが、7歳児の夜尿症のお子さんは10%程度とされ、その後年間約15%ずつ自然治癒していき、成人に至るまでにほぼ全例が治癒すると考えられています(図1:クリックで表示)。男女比は約2:1で男児に多いとされています。
ご両親のどちらかに夜尿症の既往がある場合、40%のお子さんに夜尿症が出現するとされていますが、明らかな原因はまだわかっていません。

疾患の成因どうして起こるの?

夜尿症は、夜間睡眠中の覚醒障害(容易に起きない)を基盤として、抗利尿ホルモン(夜間睡眠中に多く分泌され、尿量を少なくするホルモン)の夜間分泌不足による尿量増加や排尿抑制機構(尿をぼうこうに溜めておく機能)の未熟性によるぼうこう容量低下が加わって起こると考えられています。つまり夜間尿量が多くても尿意で覚醒してトイレで排尿するか、ぼうこう容量が夜間尿量を上回れば、夜尿は認めません。またぼうこう容量が小さくても夜間尿量がそれ以下であれば夜尿はみられません。この考え方に基づいてわが国の小児科医は図2(クリックで表示)のように小児の夜尿症を夜間尿量とぼうこう容量のバランスから3つのタイプに分類しています。つまり夜間尿量の多い多尿型、膀胱容量の少ない膀胱型と両者がみられる混合型です。

診断・検査どのように発見されるの?

夜尿症のお子さんの5%弱には泌尿器科的疾患、内分泌疾患、脊髄疾患や精神疾患が見つかることがあるため最初に受診された際に、こういった疾患による夜尿症でないか慎重に診察します。これらの疾患のないことが確認できたら、夜間尿量の測定やぼうこう容量の測定を行い、病型分類を行います。

治療どうやって治すの?

まずは生活指導として3つの基本方針、すなわち、①中途覚醒を強制しないこと、②夕方以降からの飲水を控えること、そして③ぼうこう容量の拡大、つまり尿をぼうこうに十分に溜められるようにすることを目的とした排尿抑制訓練、を行います。また欠席がいじめのきっかけにならないよう、学校行事にはできるだけ参加させるようにします。生活指導で改善がなければ薬物療法やアラーム療法を検討します。ここでいう改善とは1か月の夜尿回数が半分以下に減少することを指します。治療法は病型によって使い分け、多尿型には、抗利尿ホルモンを夜寝る前に補充する治療を、膀胱型には、抗コリン薬による尿をぼうこうに溜めておく体の機能の改善やアラーム療法を、混合型には、これらの治療法の併用を行います。アラーム療法は夜間睡眠中のおもらしの始まった時にアラームのスイッチが入り、お子さんを音や振動で覚醒させるもので、3か月で60%程度のお子さんに有効です。

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