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日本小児泌尿器科学会事務局

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株式会社 PLANNING FOREST
TEL:06-6630-9002
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MAIL:jspu@p-forest.co.jp

 
 
 
 
 

【疾患の概念】
 陰のう内や精索内に液体が貯留した状態を指します。陰のう部に見られるのが、精巣水瘤(陰のう水腫とも呼ばれます)、そけい部に見られるのが精索水瘤(精索水腫とも呼ばれます)です(図1:ここをクリック)。

【疾患の成因】
 精巣は、腹腔内から下降の際に消化管を包んでいる膜(腹膜)と一緒に降りてきます。そのため、腹腔内と精巣周囲は、細い道(腹膜鞘状突起 ふくまくしょうじょうとっき)でつながっています(図2:ここをクリック)。2歳までに、腹膜鞘状突起は閉鎖するといわれていますが、閉鎖しなければ、そけいヘルニアや精巣・精索水瘤など様々な病態を引き起こします。

【精巣水瘤と精索水瘤の種類】
1. 腹膜鞘状突起が大きく開存していれば、腹腔内臓器が脱出するので、そけいヘルニアになります[図1-2):ここをクリック]。

2. 腹膜鞘状突起が小さく開存していれば、交通性の精巣水瘤や精索水瘤になります。小児の精巣水瘤や精索水瘤のほとんどは、このタイプに入ります[図1-3), -4):ここをクリック ]。

3. 腹膜鞘状突起が完全に閉鎖していれば、非交通性の精巣水瘤[図1-5):ここをクリック]や精索水瘤になります。新生児期と思春期以降に見られます。

【診断・検査】
1. 視診
 腹膜鞘状突起が開存している場合は、朝が最も小さく、夕方から夜にかけて最も大きくなります。

2. 触診
 大きくても痛くありません。押しても大きさは変わりませんが、泣いたり、嘔吐したり腹圧がかかった時に大きさが変わる場合は、そけいヘルニアを疑います。停留精巣を合併することが多いので、精巣の位置を確認する必要があります。硬く緊満している場合、皮膚に発赤が見られる場合は、精索捻転、精巣上体炎、精巣(上体)垂捻転、精巣腫瘍、などを疑います。

3. 超音波検査
 内部の状態(液体、腹腔内臓器、のう胞などの区別)や精巣の位置が観察でき、診断に役立ちます。

【治療】
 そけいヘルニアを合併していれば、自然治癒の可能性はなく、早期の手術が必要になります。交通性の精巣水瘤や精索水瘤で水瘤が緊満していない場合、緊急性はありません。非交通性の精巣水瘤や精索水腫は1-2歳までにほとんどが自然に消失します。
 手術は、腹膜鞘状突起を内そけい輪の高さで処理します。そけい部の小切開で行われるのが一般的ですが、両側性の場合は腹腔鏡を用いることもあります。合併症として、精管損傷があり、年少児の両側例の場合は注意が必要です。成人の精巣水瘤の処置の方法(穿刺吸引や硬化療法)は、禁忌とされています。

【外来経過観察上のポイント】
 1歳未満の年少児の場合、啼泣時にそけいヘルニアの嵌頓(かんとん)を起こす可能性があります。精巣水瘤と不妊症との直接的な因果関係はありませんが水瘤が緊満している場合は、精巣の変形が起こるとの報告もあります。そこで将来の精巣機能への悪影響を心配し、手術が勧められることもあります。

 

 
 
 
 

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